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翻刻
只無心にして年月を送る野老山人に異ならず彼等は大裡仙洞の
金銀を鏤めたる玉の台を見ては前後を忘じ脊をくゞめ雷を戴て江を
渡るが如くなる者也我等も限り在まさぬ御智慧の源より御作なされし
広大の森羅万像を見る時只忙然として暮すまで也誠に玉の簾を
かけ錦の帳をたれたる金殿の粧ひも人の作りたる物なれば御作の
物に比べては只珠玉を取て魚目に宛るに似たるべし其によて頼み奉る
御智慧の海底に溺れ沈むやうに計ひたまへ野老山人よりも尚
愚癡なる我等を引起し給ひて御作の物にある好事を見て量り
在まさぬ御仁徳御智慧御力御美麗清浄尽せぬ御計ひ等を恭敬礼
拝し奉る様に代々を重てと謹で頼み奉る
第三 往昔ぜんちよの学者は何たる題目をもて道理の
光を得 ds 在ます事を分別したるぞといふ事
ひですの条々の踏へと云は世界の御作者御一体在ます事を信受し
奉る儀也是則森羅万像を作り給ひ万の極りをなし給ふ緒善諸
徳の源にて在ませば万物は皆此尊体に拘へられ奉るやこの地盤は
ひですの条々の為に肝要なる儀なりとさんぱうろ宣ふ也 Accedentem
【左枠外に 初巻 七】