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光を以て是を弁へたるものなり
§一
ありすとうてれすの引し喩へをきけ大地の底に結搆なる殿閣を
建立し天の光をうけずして拪【注】者あらんに上界には貴き御作者ありと
きひて年月を送り而じて地中より引上られ天地の間に備るほどの
物の歴々分明なるを見て地中にて聞しは屑ならずとあきれはつ
へきものなりと
去ばかほど久しく地中に居るにをよばずたゞ二三日の間なりとも日輪の
光なくなりて又本の如く輝きいでんを見ばいかゞ思ふべきぞ是を以て深き
御恩のほどを弁へよ御作者なしといはん者は只禽獣よ無心なる諸
天の廻り行を見てたゞをのづから動き廻るといはんや今改めて深き深き理を
談ずるに及ばず只もく目前の境界をもて思案せば御作者在ますと弁ふ
べし去ば天地の間に有程の千草万木はうはおそひに似て国邕山野を
荘厳し金銀珠玉はしたかさねにして地中にあり河水海中の魚類
山野の草木花咲実のり清水の派れ潔きいで湯に至るまで皆
人間の心を慰むる媒也いきとしいける物の中に強き獣弱き翼の類ひ
までも彩り荘り花中に遊ぶ鳥の囀りは只自の琴曲也其外牛羊
【注 「拪」は「栖」の誤。以降はママとする】
【枠外左 初巻 十】