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翻刻
御作者量りなき御智慧の源なくして叶ずとせんちよなるつうりよも
論じ定めし者也如此論ぜし事御作者より人の上に証拠分明ならんが
為に計ひ給ふ処也爰に又等閑ならぬ徹所ありゑじつとゝいふ大国には
一円雨のふる事なし故に万民耕作成難き事を御照覧有て
其国中を流るゝにいろといふ大河を毎年時至て河水みちあがるやうに
計ひ給ふ也それをもて田畠国土を湿し五穀豊年に熟する事他
国に勝れり又めそぽたみあといふ国にもゑうはらてすといふ大河を
もて右の如く計ひ給ふ也御作者より人を治めたまはん為に如此計ひ給ふ
事誠に限りなき御仁恩に非ずや是又一年二年の事のみに非ず天
地初りてより今に其分計ひ給ふ者也
去ば乳母の孫児をいたはるが如くそれ〳〵の時に応じて花実を結ばせ
給ひ夏の日の熱きには薫風南より吹て微涼を生ずる事は是を
はからひ給ふ御方在ますぞといふ事を断はる者也と同じ学者の書
置しなり嗚呼心を付ぬきりしたんの為には恥ならずや彼ぜんちよの
学者もひですの光を受るに於ては御主 ds を如何程敬ひ奉るべきぞ我等は
ひですの光をうけながら是に劣るべき事中々恥辱ならずや
§ 二
【枠外左側に 初巻十一】