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大なる犬には恐れねども小き猫を見て恐るゝ也
又此等の類ひの身を養ふ為に持たる道具を見よある獣は角と蹄を
もて敵を防ぐもあり或は牙歯の強きを以て防ぐもあり又は其身速
疾にして敵より遁るゝに安きもあり又食を求るに不足なからん為に
持たる道具の数其あやつりのさま〴〵なる事まことに奇妙不思議也
或は足を運びて食を求るもあり或は蠢き動き飛翔り或は泳ぎ或は
觜を以て堅きを砕き爪をもて引裂き又は歯の強きをもて嚼破り
乳しるをもてやしなはれ或は生れ下より食を求るに輒きもある也
此等は生得智慧なき者なるに智慧あるやうなるは何事ぞと云に御
作者の御智慧最上無辺の源より其身を巣立るいんすちんとの精魂を
それ〳〵に計ひ与へ給ふゆへなり
喩をもて分別せよ二三歳の童の世にこえて弁舌利口なるを聞かば
何といふべきや此小児の分別にてはあらじ何者ぞ内に託しつらんと
云べき也其如く智慧なき禽獣の智慧あるわざをなすを見ては無量の
智徳備り給ふ御作者ましまして如此計ひ給ふといふ事明也其によて
ぜんちよの学者も万事を計い治め給ふ御智慧最上の源より是を
計ひ給ふとよく弁へたる者也さんとあぐすちいの此上を観念し給ひて
【枠外左側に 初巻十四】