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嬋娟たる事誰かは是を顕すべきや誠に夏の日の暑熱甚しく心堪
難しといへども夕には涼しき風の音づれて昼の熱さを忘れ立すゞむ
夜はの月の光に心をはらしみどりの空詠めがちなりといへども常住
見馴たる事なれば御恩とも御奇特とも手を付ず御作者を尊み
奉るにも及ばぬ也是を分別する為に小児の生れ下より日輪をも
見ず暮き所に巣立て是非を弁ふる時節となりて月星の明なる光を
見するに於ては如何ばかりか仰天すべきぞ月ども生とも弁ふる事有
まじければ只愀て立べし加程天の荘厳となる日月星の麗しき彩りを
見て争か御作者の御作意仰讃の及ばざる所を驚くまじきや学者の
云く Intuere cælũ, & philosophare. 天を見て其上を論ぜよと云語也此心は美麗
なる御作の物を見る汝は御作者の上を何と在ますべきぞと観察
せよと云儀也 Videbo cælos opera manuum tuarum, lunam, & stellas, quæ tu fundasti. Ps. 8.
又だびつ宣く御手の御所作となる諸天と月星を見奉るべしと
云語也
去ながら此美麗なる所にのみ心を留むべから只下界の万物に其精
徳を施す事を以て驚くべし是又日輪の上に明に見ゆる也先秋来れば
日の旋り遠去るによて天地の気冷ましく空吹風も身にしみ野山の
【枠外左側に 初巻十六】