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色も替りもてゆき草木の葉も黄ばみ落て野面にすだく虫の
こゑ〳〵さをしかの音も物がなしく都て四方に顧るに人の心物毎に
愁を催す媒ならずといふ事なし又冬来ば人の心を寒殺すと見え
たり是弥日輪遠ざかる故也春は暖かなる陽気次第にをくによて万物
折を得て野辺の草葉も萌出雨薫しく雲淡く草木の花も
綻び鳥の囀りうらゝにして四方の霞も長閑なる事皆以て日輪の
徳也人も亦其精徳を受て以て歓びも愁も是によると見えたり
暫くも日月触すれば人皆是を恠しみ眉を顰め愁を生ずる也
是皆下界は天より抱へられたるといふ証拠也
第五 日輪の事
今までは天の事を論ずといへども巨細には非ず押並ての上也今
爰に委く論ずべし先に日輪の麗しくたえなる事誰か顕し尽さんや
あなしやごらといふぜんちよの学者自問して人の世に出たる事は何の
為ぞと日輪を見る為なりと自答したり是別に非ず日輪に籠る徳
儀を見て人は工夫を懲すべき為のみにも生を受たる事尤なりといへる
【枠外右側に 五ケ条】