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心也然に彼学者も日輪を天地の主とは見ず只天に備る名珠の如く
なる物と思へり
去ば人として日輪の精徳を見ながら驚かざる事を何ぞといふに
せねかのいへるごとく常住見馴たる故也其によて例に替りて恠しき
相を見れば大に驚く者也是日蝕月蝕の上に見えたり猶驚くべき事
あり諸星は日輪の光をかる物なれども昼は日の光を以て曜かざる事も
又不思議ならずや然に月は増減有て常に日輪の光をかる事是又日の
蝕し月の蝕するよりも猶奇特なりといへども不断の事なるによて
驚く事なしさんとあぐすちいの智者は常住の物を軽めず大なる事を
見て驚かずといふ事なしと宣はり去ば日輪の精徳を爰に少々顕す
べし先一ッには諸星に光をかす事衆星又下界の助けとなる為には
日輪の光を借てもて其用を施す者也故に世界は日輪の精徳のみに
非ず衆星の恩力をもかる者也然ども其本は日輪にありと心得よ是を
指て学者の語に Sol, & homo generant hominem. 日と人として人を生ずと
此心は人の色身を作り玉はんために第一の道具と定め給ふは日輪なり
二には日輪の光をもて土水の湿気を空中へ引揚る也然に風大の
中はきびしく寒冷なるが故に湿気風中にて凝かたまつて雨露霜
【枠外左側に 初巻十七】