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近くなし給ふ也又海中に ds 陶置給ふ小嶋の数々幾千万といふ事を
しらず是皆御作者の御慈悲と御力をあらはし奉る者也先御慈
悲と云は此等の嶋々を以て戸渡る船の休み処難風の時の隠れ所船中に
水木の闕如を補ふ便とし水主楫取等の休息となし給ふ也是明白の
御慈悲に非ずや御力を顕し奉るといふは一滴の水の落るさへも度重
なれば石をも穿つならひなるに海中の小嶋の数々白波滔天して
岸を打事絶ざれども右より今に至るまで崩るゝ事なきは御作者の
万事叶ひ給ふ御力明かなる者也其上右に云如く四大は皆其々の本所に
至らん事を望み水大は地大の上をつゝみ覆ふをもて本所とする性
なるに ds 一度是をかたよせ給ひてより以来再び本所に帰らざる事
御作者の御力を顕し奉る者也加之水土の境を見るに多くは小き
真砂を蒔給ひて寄来る浪を防ぎ給ふ事誠に奇妙の一儀也是驚か
ずんば有べからず然ばさんとあんほろうじよ宣ふ如く大海と云は百千の
河の流れおさまる所諸の泉の湧出る水上旅行の人の近道珍宝運送の
基ひ遠国徘徊の通路異賊襲来の守りともなる也都て大海に含む
徳儀を誰かはあげてかぞふべきや
§ 一
【枠外左側に 初巻二十三】