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茲に尚勝れたる大海の徳儀あり是を書尽す事筆端の及ぶ所に
非ず其一滴を汲ていふへし先海中を拪家とする大小の魚鱗異形
異類の品々幾千万ぞや人智には其異類をだに究むべからず益て
算数にをひてをや其故は魚鱗の胎中に有子を見よ誰かは算へ尽す
べきぞ此一ッづゝより産出すべき子の数々又如何計の事ならんや山野の
禽獣多しといへども魚鱗の数に及ぶべからず加程算数に及ばぬ
魚鱗を御作者より作り置給ふを何ぞと見るに狩人は山に入て獣を
かるに其を目に見て取道ありといへども漁人の業は虚空の丈尺なるが
故に何国に網を下しても功なき労をせざらんが為如此計ひ給ふ者也又
魚の子の巣立やうを見るも不思議也親は子を産捨れば大海は乳母の
如く請取て巣立出す事奇妙の一儀也御作者の御定めに非ずんば
海水の力のみにて叶べからず又貝の類も異形不思議也青黄赤白黒の
彩りを以て衆色を顕す貝もあり如何なる上手の丹青か海底に
入て画けるぞや又魚類の風味品々なる事朝夕試る事なれば
論ずるに及ばずさんとあんぼろうじよ是を観じて御作者を尊ひ奉て
宣く嗚呼不思議なる御憐み哉人を作り玉はぬ以前より滋味を含む
魚鱗を作り置給ふ事は何事ぞ則人を御子の如く思召す御大切の