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五穀草木の生ずる体を見るに先それ〳〵の種土に落れば空より又
日月星の徳気降りて其種を養育し成長させ木となし草と
なす者也然に五穀草木といふは人倫の為になくて叶はざる肝要なる
物なれば末世の愚人是を見て偏に此等をば三光より受たる恩徳と
のみ思ひて迷はざらんが為に世界の初に五穀草木を作り給ひし時は日
月七星も未なかりし以前に御辞計をもて地より生じさせ給ふ者也
是五穀草木の恵みは全く御作者の御恩なる事を弁へさせ玉はん為也
其より以来五穀も草木もそれ〳〵の種を地に落し三光は徳気を
降して養育し成長する様に定め置給ふ者也
去程に五穀草木の種の成長する体を見るに始中終皆不思議のみ也
さんとあんぼろうじよ是に心を付給ひて小麦の生ひ出る上を演て云く
農夫小麦の種を田地にまけば土は即是を請取て先うは皮を腐らし
中より緑の苗を生じ漸々に草と成て終には末に穂を生じ其
穂に亦実を含む事莫大也一々是に心を留めて見るに先其穂に麁皮
ある事は其中の実を隠し風雨寒暑に損ぜしめざらんが為と見え
たり又其穂に芒を生じたるは鳥に輒く啄まれぬ為に摸雁を結びたる
心也其根の四方に蔓る事末の穂の重きを戴く為と見えたりくきに
【枠外右側に 十ケ条】