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又節々を籠たるは長きを強らせんとの事たるへしさても奇特なる
事哉誰かは是を観じて御作者を尊ひ奉らざらんやと宣ふ也
去ば五穀を先として草木の実を見るに四季折々に相応して生ずる
事誠に御作者の御大切茲に顕れ給ふ也加之物によりては当座に
用る為となり物によりては程経て後の畜へとなる者也又物によりては
身命を養ふ為となり物よりては只慰みとなるのみ也さても此等の事を
思案せん人は争か御作者に御礼を申上御大切に存奉らざるべきや
然に是を顧ず御恩をも見知らざる族は喩へをとるに例なし若人有て
旅に趣き路次にて一宿をからんに亭主は誰人とも知らざれ共丁寧に
宿をかし酒肴の数を尽して賞ずへき所に明日彼人一礼にも及ばず
馬に鞭て行かんをば亭主何とか思ふべきぞ只無智の狂人と見るより外
有べからず其如く皆人此一生の旅の間に忝も御作者 ds 丁寧の数を
尽し給ふ事明白なるに其御礼をだに申上ざる族は何とも云べき辞
なし取分是は富栄へ如意満足なる人の事也食物には山海の珍物を
集め衣裳には綾羅錦綉をつらね玉接金殿に座し朝夕栄花の数を
尽しながら此等を何かたより与へ給ふぞとだにも顧ずして只畜類の
ごとくに用ふるは甚無懺の至り也
【枠外左側に 初巻二十六】