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木の実草の実に付て不思議なる御計を知らんと思わゞ【注】松の実胡桃
柏の実などの上を見よ此等は雲を払ふほどの樹なるによて風雨に侵
されて難艱に逢べきが故にくるみには先外に強き皮をきせ給ひ猶其
下に家の如く強く堅き物を以て実を包み給ふ也松の実かやの実も亦
如此し又木の実によて一段大なるには木ずゑ撓て折べきが故に堅固に
強き枝を作り付給ふ也故に其実重しといへ共折る事なし又石榴の
上を見よ是をもて御作者を貴み奉るべき題目あり先外をば色ある皮
にてつゝみ給ひ中なる実は玉のごとくにならびゐ互にすり合損ぜ
ざらんが為に薄ききぬの如くなる物を以てつゝみわけ給ひ其隔をなし
給ふ也一粒づゝにかたき核を与へ給ふ事は実の上和かなるによて強き物に
陶るときんば其実全からんが為也又粒一ッづゝより小筋を出して皮に取付
陶る事は喩へば胎内の子九ケ月の間臍の緒より母の養ひをうくる
ごとく木の根より通ずる潤ひをうけんが為也此菓の徳儀は病人の為に
口の燥きを潤し健かなる人の為には風味あり皮も又薬性の徳深き
者也さて〳〵工夫をなすべきほどの人は争か是を思はざるべき又蒲萄の
はびこるに付て其根は小さけれども徳の深き事多し先此実は一段
風味を含み其しるを醸して酒に造るに何れの国の名酒よりも百薬の
【注 「はゞ」を「わゞ」に誤記ヵ】
【枠外右側に 十ケ条】