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材木なくんば叶べからず其によて実もなき大木をも造り給ふぞ実を
結ぶ樹木をひきく作り給ふは其実の取易からん為也実を生ぜぬ樹を
高く作り給ふ事は桁梁の用木となし玉はん為なりと心得よ是即
槙檜松杉の類ひ也又御主より人を御寵愛なさるゝ為に栴檀沈水の
ごとくなる薫しき物をもあまた造り給ふ也又生得は実を結ぶ木
なりといへ共その能をなさぬ樹あり是をば無益也といはんや其儀に非ず
是をば人の才覚を廻らし智慧を遣ふを以て実のらせ玉はん為に作給ふ也
其によて喩ば実のらぬ梨を引切て台としてよき実を生ずる梨の
枝と続をもて上品の実を生ずるぞ是に付てさんとあんぼろうじよ
宣ふは苦きあめんどゑらすといふ樹を甘くなすために其根を打破りて
其中に松の苔を入て植れば則甘くなるといへり是よりも不思議
なる事を知らせ給ふ事ありぱろまといへる樹は枝葉ともに美しくして
直に立のぼり葉のなりはしゆろに似て長く狭し馬のたてがみのごとし
去ば此樹に陰陽の二ッあり何れもよき実をば結ぶといへ共一所に植ざれば
其実熟せざるが故に陰陽の両木一所に植れば陰木は陽木の方へのみ其
枝をたをむ者也それによて陰木は陽木に離れて実を熟せざる時
農人是を見て陽木の実を取て陰木の本に打添て置也是をもて陽