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者也尚奇特なる事は自分の怨敵をいまだ形の顕れざるさきより
其香をかひで知るによて未前の凶を相してにげ去也さて又彼等が怨敵に
さし向ふ敵類を知て其に馴れ因む者也喩へば牛羊は狼より逃来て
犬の辺りに集る也又居所悪ければ好き所を撰びもとむる精をも与へ
給ふ也其によて燕は冬の間寒国には堪忍しがたき事を知て暖国に行
者也是冬は食の稀ならん事を勘ふるゆへ也又禽獣の上にも煩事ある
ものなるがゆへに己れと薬を撰びとる精を与へ給ふ也
§ 一
彼禽獣を滅し給ふまじき為に五穀の種を定め給ふ如く群生にも
子を産巣立る時分を定め給ひて繁栄させ給ふ也ぱらどんとつうりよと
いふ学匠も是を見て大に驚く也其故は繁昌の時となれば必其道を
違へず子を産巣立る者也又時節過れば互に離別して雌とも雄とも
弁へず其道をも忘却する也誠に是を見る事人の上に於て恥辱
ならずや人は嫁婚の道にやむ時を知らず是則人の生れ付の損じ
たる謂れに非ずや子を養ひ巣立る事も鳥類畜類は如何程の営みを
なすぞといふ事を見よ先兼て其住所のよしあしを撰びよきと思ふ
所を搆る事更に浅からず此例し多しといへども今此一をもて勘弁
【枠外左 初巻三十一】