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子に手をかけんとする者あれば声をあげて身の毛を立て防ぐ者也
乍去よく其子をさへそだてぬれば親は其子を指捨る也是はや親の歎き
にも及ばぬといふ験也若右にいへる理りに不審をなす事も有べし
諸の鳥類畜類には食を求むる為の眼を与へ給ふに蚯蚓の類ひに眼の
なき事はいかんと答て云く其こそ尚御作者の深き御智慧より計ひ
給ふ所なれ其故は彼は土中に居て食すも土を用ふれば眼を持に及ばず
諸の木草も又是に等し其飲食は即土なれば口となる根に土と
湿気を付をき給ふ也又禽獣の子をそだつるにあまたの奇特あり先
鳥類の巣作る体を見るに縦ひ智慧ある者とても加程勝れたる巧みを
なす事有べからず押並て其巣の形は籠の如くにして程らひは生る
べき子に応じて大小を定むる也羽も毛もいまだ生ひ出ざる子にあらく
当るべき事を看て如何にも和なる物を拾ひ集て巣の内に敷也其
子も狭き巣の中に糞をせば悉く汚るへき故にわきへよりてするを
親より拾ひ捨る者也さても奇特なる御計ひ哉智慧有人とても
是に勝りたるわざをなすべきや去ば鳥獣の中に取分人の便となる者
多し故に ds の御計ひをもて此等の類ひの断ざるやうに計ひ給ふ也
其によてこそ如何ほど取ても尽期なく生ずる物なれ是又鳩ぺるぢす
【枠外左 初巻三十二】