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羽と毛の類ひは毎年旧きを替て新きを生ずるを以て長く其
身を損ぜざるやうに計ひ給ふ者也四肢あるものには沓【注】の代りに爪と蹄の
かたきを作り与へ給ふ者也又其身を養ひ巣立る為に全体のつがひ〴〵
相応せずんば障り有べきがゆへに足の長き鳥には長きくびを与へ給ふ也
是足は長ふして頸短くんば食を求むるにも不弁なるべきがゆへ也梟は
日の光を背て夜餌食を求むる物なれば其為に入程の光を眼に与へ
給ふ也猫も又如此
第十三 禽獣の身を養ひ巣立る才覚の事
今までは禽獣の徳儀を押並て論じぬ今よりは彼等が上に備はる徳
儀を各々に論ずべし先羊は野辺に出て草をはむに何れも同じ
緑りなる草の中によしあしを見分てよきを撰びあしきをば
はまぬ也是は羊のみにあらず万の獣も如此し人は智慧ありといへども
此差別自には知事なし是に付てするぴしよといふ学者の記録に
ある道心者山林に籠り難行苦行して食事には草をのみ用ふるに
草の好悪を知らざれば折々腹痛を煩也飢るといへども腹痛の甚
【枠外左 初巻三十三】
【注 「沓」は上下反転(逆さま)の誤植ヵ】