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しき事を思へば食する事を得ず故に ds へ歎て申さく仰ぎ願くは
此草の好悪を見せ給へと ds 是を御納受なさるゝ験として鹿一疋
多くの草を含み来て彼道心者の前に置悪しきを捨よきを束て
さりぬ是より草のよしあしを見知て食せじがゆへに彼人の腹痛も
平愈すと見えたり羊にもまた奇特なる精魂あり冬は万の草の枯果
べき事を知て秋の末には常よりもましてはむ者也人是を鏡として
存生の内に専末世の覚悟をせよかし又羊の子の面々の母の声を聞
知も奇特也喩へば千羊の群りたる中には子をつれたる母も若干也
然るに子どもは余の羊に隔てられて母を見失事あれば面々声を
たてゝ母を慕ひ呼時母も声を合するにそれ〳〵の子どもの毛も姿も
替らぬ群羊の中を分通りて声をのみしるべとして面々の母の元に
尋つく者也嗚呼奇なる哉妙なる哉縦ひ智慧ある人なりとも
其声の隔ては聞分がたかるべきに羊は生れて廿日を経ぬれば其差別を
聞知也又雞の上を見るにも不思議なる事あり母鳥食を見出して子
どもをよべばひよこは其声を聞知て即集る也茲に尚奇特なるは雛は
かいをわりて出ると共に母の声の隔てを聞知也ゑをはめといふ声を
聞ば走り来てくらひ翼の下に集れとの声を出せば其下に集り鳶の
【枠外右 十三ケ条】