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安堵の思ひをなしておりくだり虎の上に飛あがり飛くだり悦ふ所を
虎はたと起て恣に取て喰ふと也さても無智の禽獣として己れが
身を養ふ為に此等の才覚有事は誰がなす所ぞやよく其根元を見よ
猫も又如此の巧みをなす也是皆人の知処也園林に出て叢に隠れ死し
たるふりをなせば鳥来て近付所を押へ取て食する也去ば人の住所に必
鼠のあるは定れる事なればかゝる凶災なる夜盗を静むる守護として
御作者よりねこを定め置給ふ也其為に身は如何にも軽くしてつめは
するど也双眼は光有て闇にも物を見る精あり実に ds 人に対し給ふ
御丁寧は是にても明白也
狼と羊との上を論ずるに不思議なる事あり狼は生得子を多く産む
者也羊は一年に一ッの外は産ず然に狼の数は少く羊は其数多き子細を
何ぞといふに狼餌食を求めんとて深山より野原に出る時ゑじきなけ
れば互に勝負の如く群りて追めぐるに足つかれて目まひ倒れふす
狼あれば負たりといふ心にや余の狼ども其を取て喰ふ也故に狼は多
からずと云々是を能勘弁すれば ds より二様の御計ひあり一にはかゝる
不思議なる道を以て狼に食を与ヘ給ふ事二には其道を以て即狼の数
すくなきやうに計ひ給ふ事是也然ば悪き獣を多く巣立たまはぬ
【枠外右 十三ケ条】