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高きがゆへに彼が足には三ッのふしあり荷を負せんとする時は自其足の
ふしを折てくゞまる者也長の高き程くびも又至て長き也猶も不思
議なるは大象は其胴体に応じたるくびを持にをひては其身を進退し
がたかるべきがゆへにくびはみじかくして鼻は長き也其鼻を以て地に
ある食を巻取て用ひ又水をも吸取て口に入る也此獣に余多の興ある
事の中に一ッは嫁するを人の見る事を嫌ひて其時節になれば人も
通はぬ所へゆく也若人より見らるればなるほどは其人を害せんと
する也又鷲の上を見るに彼は遥かの雲井を飛翔る鳥なるによて空中
より下の餌食を見付る為にいかにも強き眼精を御作者より与へ給ふ也
たとひ又眼精強しといふともゑじきを得る才覚なくんば益ある
まじきがゆへに其才覚をも与へ給ふ也是によて若亀などを取て喰
はんとするに其甲を離す事叶はざれば雲井遥かに飛揚り岩の上に
落して甲を打破りて喰ふと也是に付て古き書に見えたる事あり
昔ゑすきれすと云名を得たる歌人ありしがをのづから頭髪落てなかり
しに或時わし亀をつかんで空に揚り甲をわらんとて石を尋に彼人の
頭を見て石かと思ひて亀を落しかくればあやまたず頭上にあたりて
疵を被り終に死したりといへり
【枠外右 十三ケ条】