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常は沖にのみすむ鴻なれ共大風の吹んと思ふ時は兼て汀に近付也
鷺は池沢の辺りを己れが拪家とすといへども風雨はげしからんと
覚ふれば遥の空に飛揚り風雨を含める浮雲を通りて其上の長閑なる
空を求むる者也爰に尚不思議なる事をさんとあんぼろうじよ書置
給ふ也海中に小魚あり大風吹べき事を相ずれば口に石を含て待者也
是小さく軽き身の浪に漂泊せざらんが為と見えたり水主楫取等
是をみれば則大風の用意をすると也かほど小き鱗の未前の凶を覚て
人の師範となる事奇妙不思議に非ずや右条々の事を思惟して
誰か御作者を見知り御智慧を尊ひ御計ひを仰ぎ奉らざらんや
第十五 禽獣虫魚の敵を防ぐ道具并に才覚の事
去程に禽獣に身の病ひを除く才覚ありても敵よりなす仇を防ぎ
又敵に害をなす道をしらずんば不足たるべきが故に是をも御作者より
それ〳〵に応じて計ひ与ヘ給ふ者也大象の牙獅子虎の爪犀の角等は
何の用とか見る是皆敵を防ぎ敵に害をなす相当の道具に非ずや
又此等の猛獣にも限らず僅なる虫魚の類ひまでもそれ〳〵に防ぎ
【枠外右 十四ケ条】