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声をきけば養母を捨て彼を慕ふ也是誠に信じ難しといへども
ぜれみやす十七ケ条に御作者より是を喩へに引給ふをもて信用に
足り爰に心を留めて見よ邪法に迷ひたる諸国の人民は天狗に盗
まれたる人とも云つべしされば終に聞ざりしゑはんぜりよの御法を
聞て即是に帰服する事は彼鳥の本母の声を聞とともに即慕ひ
行が如く也又鷹の雛に鳥とるやうを教ふるも不思議也ひなの漸く
飛ぶへき力あれば小鳥の翼を少々抜て持来り子の前に置ば子は飢たるが
ゆへに即其小鳥を取て喰ふ也それより後は又次第に遠く置てとり
ならはしむる者也猶鷹に付て不思議なる事あり人常に知がゆへに
驚くことなし冬の夜の至て寒き時は宵に小鳥を取て生ながら胸に
あてゝ身をあたゝむる也生得鷹は脾の臓至て強きが故に夜明ぬれば
即出て餌を求むるといへども彼小鳥をば喰ふ事なく其まゝは放ちて
もどす也而も其飛去たる方を能々見て其日の中には其方へ行ずと
いへり是二度彼鳥をとらさらんが為と見えたり去ば何れも主君
たらん程の人は是を鑑みて忠臣義士の勲功を空しくする事なかれ
若報ずべき力なくんば責て其志しを深くすべし
然に生としいける類ひのもの子を愛せざるはなしといへども魚類は
【枠外左 初巻四十三】