翻刻
【右丁】
ちと是からは大王にも。気点(きてん)をきかせ
給(たま)へと。蛮内(ばんない)に言ゝ結【詰の誤記ヵ】られ。閻王(ゑんおふ)も大きに
こまり。是〳〵そのやふに。重(かさ)ねかけていわ
れては。挨拶(あいさつ)にこまる得て中華(ちうくわ)と。日本は
やゝともすると。腐儒(ふじゆ)の高論(かふろん)を言ふ
ゆへに。朕(おれ)をこまらせる。是から又 朕(おれ)が返
答(たふ)をすると。ことが長くなり仕舞(しまい)かつか
ぬ。閻魔(ゑんま)大王も。鼻(はな)の下の建立(こんりう)が勘甚。
【左丁】
理屈(りくつ)をはやめにして何も相談(そふだん)兎角(とかく)地獄(ちごく)
の賑(にきや)やかゞ第一。御存の通り不景気(ふけいき)な。地
獄の有様。ちと銭もふけの有様に。先生
を御頼申との事。蛮内(はんない)も余(あま)りに言うも
如小児(おとなけなく)。そふ大王の打解(うちとけ)ての事ならは。最早(もはや)
即座をはさつばりと。三津川におん流し。
我等も極楽へ行て。蓮上(れんじやう)に畏(かしこま)り。数(かづ)の菩薩(ぼさつ)
付合も六ヵ鋪。精進物(せうじんもの)では酒も呑まれず。