翻刻
【右丁】
天照太神(あまてらすをゝんかみ)の道を守り。世界皆〳〵其国法に。
随ふこそ人間の道也。天 竺(じく)こそ釈迦如来。
出現(しゆつげん)の国なれば。仏法に随ふが道成。天竺
ばかりの罪人を糺(たゝ)し。中 華(くわ)日本其外の
蛮国の者を。構(かまは)ぬならばよけれども。いけ
もせぬ理屈を言ゝちらし。地獄の法式だて
をする故に。当世皆〳〵が利口になり。近年
善光寺如来。出開帳の時。百ツヽで。御印文
【左丁】
を受其外六十四文あひのは五十。三十弐文位で。出し
合の川 施餓鬼(せがき)に。先祖を供養(くよふ)し。当世とか
く銭安で揚(あげ)る。世智辛(せちから)ひ世間(せけん)故(ゆへ)。不気点(ふきてん)【注①】に
地獄に落(おちら)ることの。たゞの壱人 ̄リ もなし。夫れに
大王の脇(わき)には。天地世界中を照(てらす)ず。【注②】常(じやう)
玻璃(はり)の鏡(かゝみ)を置。見 ̄ル目 嗅(かぐ)鼻(はな)と言ふ。細(しのび)作(もの)【細作、さいさく=間者と同義】
感者(かんじや)を遣ひながら。世界(せかい)の内一ツとして
分明(ふんみやう)成ぬは。是何の用にもたらぬ。大 呆(たわけ)也。
【注① 不気転の誤記と思われる。気転がきかないこと。また、そのさま。】
【注② よくある語尾の重複と思われますが、それにしても濁点は不要。】