翻刻
【右丁】
れは。皆〳〵胆を潰し。今まで釼の山より
金の出ことを知らす。先生なくてはなか〳〵
地こくの。銭 万(もふけ)はならずと。むせうによろこひ。
一杯かゝれた事は知らす。地こくちうが大評判。
蛮内はしすまし皃。是からは此箔を。極楽へ
売出すと。。銭万は知れた事。昔よりも極楽 国(こく)。
安仏【注①】多く。なか〳〵金箔竹とゝかす。新仏
は体(からた)【體】まではつうく【痛苦】たと。手足斗に箔を塗(ぬり)。
【左丁】
体(からだ)【體】は衣て隠し。高金(かふきん)を”出して。払底(ふつてい)な
箔を買(かう)仏なし。今此 金箔(きんはく)を。一割安く
売出すならば。極楽中(こくらくぢう)の銭金を。引 揚(あけ)る
はしれたことと。口に出(て)次第(しだい)いゝまわされ。何が
爪長(つめなか)【注②】の地獄中(ちこくちう)。《割書:サア》善は急くが世(よ)の習いと。
極楽へ売だせは。菩薩達(ほさつたち)が悦ひ。今度地獄
から。金箔の大安売かある。こゝへも壱歩
おれにも南鐐と。日〳〵の銭もふけ。若(もし)
【注① やすぼとけ=やすっぽい仏。尊く見えない死人。】
【注② ケチなこと。けちんぼう。】