翻刻
【右丁】
楽(たのし)みを極(きわ)め。日本にて楽みを極めし事を。
日本一ぢやと悦(よろこ)ひいふを。通言(つうごん)に日本だ〳〵と。
言ふことく。地獄(ぢこく)にても其通り。面白(おもしろき)事をは
地獄一ぢやといふを。通鬼(つうき)ども此茶やへ来り。
楽みに乗(ぜう)し。地獄だ〳〵といふを。いつとなく。
此事を。地獄とぞいゝなしけり。夫(それ)より段々
に奢(おご)りか来て。酒もおれころしは呑ぬ。
【酒の銘柄のマーク】(なゝつむめ)か【酒の銘柄のマーク】(けんびし)でなければ。いかぬとむせうに。
【左丁】
晒落(しやれ)。末はどふなる事とやら。一寸先は黒闇(くらやみ)
地獄。罪人をせめるてもねへ。呵責(かしやく)より夜食(やしよく)
にしよふと。通りものをするもあり。地獄中が
大(だい)のふく〳〵。夫に引かへ極楽にては数万(すまん)の
菩薩(ほさつ)。安箔を買ひ込。わづか一 ̄ト月か二 ̄タ月
たゝぬうち。贋物(にせもの)の箔(はく)なれは。たん〳〵元の
銅(あかゝね)となり。赤錆(あかさひ)のぼさつ。幾万となく
出来けれは。これは奇妙な新しい時は金箔で