翻刻
【右丁】
なれり是 如何成(いかなる)事ぞと。いち〳〵観音
に問(とひ)つめられ。閻王(ゑんわう)もはじめてあきれ。
そふ言ふ事はないはづ。是には段々(だん〳〵)謂(いわれ) ̄レ【語尾の重複】
あり。早(はや)〳〵(〳〵)蛮内を呼寄よと有ければ。
冥官(みやうくわん)罷出。最前(さいぜん)観音御入と聞より蛮内
何方へか遁去(にげさり)申候といへは閻王は是はと明た
口を閉(ふさがぬ)ぬ【語尾の重複】程(ほど)肝(きも)を潰(つぶ)し名もなき奴に
たらされ【注】誠(まこと)の箔なりと思ひしにさては
【左丁】
皆 似真物(にせもの)也。頭(あたま)は此ごとく剃(そり)。形状(なり)も替り皆
是蛮内にかゝれたのか。あら口おしやと力身(りきん)
でみても。狐(きつね)にばかされた跡で。腹をたてる
やうに。わがみで我身があいそがつき。
初て夢のさめたるこゝち。此うへは観(くわん)世音。
よろしく如来へ仰あが【げヵ】られ。我等が身分の
たつやうにと。東夷(やらう)天窓(あたま)を振(ふり)り【語尾の重複】たてゝの
頼(たのみ)。流石(さすが)慈悲(じひ)第一の観世音。如来へは
【注 ごまかされ】