翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

翻草盲目 - 翻刻

翻草盲目 - ページ 29

ページ: 29

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【右丁】 獄卒はせゝら笑ひ。なんほ孔明(こふめい)のやうな蛮内でも 四輪車(しりんしや)は乗れやうが。火の車はうつだろふと。きうな 所でしやれるも蛮内か仕廻。扨 烈火(れつくわ)は燃あかれとも。 蛮内はやけす。牛頭馬頭も肝(きも)を潰(つふ)し。是は又とふ した事と。車より引おろせば。蛮内は火浣布(くわくはんふ)【注】を 着(ちやく)し居たり。《割書:サア》此上は最早(もはや)大概(たいかい)な責ではいかぬ。 八寒(はつかん)地獄の飛切。氷の地獄と一決(いつけつ)し。《割書:オア》此 貧望(ひんぼう) 神めなんぼ内へは火がふつても此地獄ではこりるだ 【左丁】 ろふと。四五日も置た所かちつとも寒(こゝへ)ず。是は又どふ した事と。あんまりで腹もたゝず。なんぞ訳がなく ては。済ずと詮義(せんき)すれは。蛮内は自分つくる所の。 ヘレキテエルを以て。体(からだ)より火を出し。寒を凌居り。 鬼ともはついに見たこともなし。是はもしなんといふ 物でござりやすと聞も尤。十王 冥官(めうくわん)もあきれ はて。つひに此様な虫のいゝ。あつかましい奴か。来た 事かない。此うへは焦熱(せうねつ)の大釜へぶちこみ煮殺(にころせ)と。 【注 かかんぷ=昔、中国で石綿のことを南方の火山に棲むねずみの毛で織った布として名づけたもの。火に焼けないという。】