伊那市×みんなで翻刻

コレクション: 内藤家資料 (1) 2

藩翰譜(六) - 翻刻

藩翰譜(六) - ページ 31

ページ: 31

翻刻

【右丁】 《割書:はしめ駿河の岡部忠兵衛といふ者あり武田にしたかつて 後岡部は|忠あるもの也とて これも 土屋と名のらせて備前守といふ総蔵昌恒を》 《割書:此備前守養子になしかの者|兵を昌恒につけられしなり》武田か家ほろふる時に当て一族 郎従こと〳〵く心変して後矢射けるほとに勝頼 ゆくへき方なくして田野の奥天目山といふ所に をちゆくかたきこゝかしこにきてなとのかるへきやうも なかりしかは勝頼川のほとりに敷皮しかせて敵を待 跡部尾張守この所にをちあはせてつとはせぬいて にけんとす総蔵昌恒きつと見てやあいかに跡部 御最期を見捨参らせていつくまてかはにけのひん 不覚さよといふまゝに大の中さしぬき出しよつ引て 【左丁】 はなつ跡部たゝ中をくつと射ぬかれて馬より落て 死してけりそのゝち総蔵は勝頼にむかひ御敵既に ちかつきぬ昌恒ふせき矢仕らん御心静に御自害 あるへしと申もあへす矢たはねときてをしみたし 近つくかたきをさしつめ引つめ散々に射る無碍に 矢頃は近かりけり一筋もあた矢なく死生はしらす 矢庭に射たふさるゝものこそ多かりけれ其隙に 昌恒か舎兄金丸助六郎昌義小原兄弟《割書:丹後|下総》女房 たちの介錯し腹かき切てふす勝頼みつから太刀を ぬきあたりをはらひ切てまはる 御曹司信勝これも