翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 14

ページ: 14

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とへば丹波(たんは)の亀(かめ)山より参(まいり)ました。酒家(しゆか)の何かしか忰(せかれ)きそく につき承(うけたまはり)及(およひ)て人を進(しん)ずる。明日御 見舞(みまひ)給はれかしといふ。 京にりやうぢどもがつかへていとまなけれど。はる〳〵聞及(きゝおよび) てこされたれば参らふと余情(よせい)をいひてもどしぬ。其あけ の日ほのぐらきに出立(いでたち)行。肌(はだ)に紬(つむぎ)のひる比なる。上(うへ)にあべ 川のわた入 紙子(がみこ)。時しらぬ高宮(たかみや)のひとへはをり。かたまへ さがりに取かさね。むさしあぶみさすがに少(すこ)大きなる朱(しゆ) ざやのあい口やれ扇(あふぎ)十文 字(じ)にさすまゝに。木綿(もめん)頭巾(づきん)を よこ筋(すぢ)かひに。いつもかはらぬねめ介 橡(とち)の薬筥(やくふ)【左ルビ「くすりばこ」】を打かた げ。丹波地(たんはぢ)におもむき行。朱雀(しゆしやか)をくだりに南(みなみ)に行ば。 恋(こひ)ざとの朝(あさ)もどり。二人(ふたり)みたりの駕(かご)のあし。飛(とぶ)かと見ゆ るひやうきん玉。みがくいきぢの色 狂(くる)ひ。うら山 敷(しく)もかへる かごかなと。打 詠(ながめ)ゆけば島原(しまばら)の。楊(あげ)やのそこなれやくゆるけ ふりの伽羅(きやら)げしき。権現堂(ごんげんだう)を水やくし。是又 医(いし)の水上(みなかみ) にて。流(なが)れを汲(くめ)る我(われ)なればと心に念(ねん)じ。月なき昼(ひる)の空(そら) ながら。桂(かつら)の川に便船(びんせん)してむかふのかたに乗(のり)出す。爰(こゝ)に東(あづま) の者(もの)とみえて。貌(かほ)は髭(ひげ)なる奴男(やつこおとこ)。木刀(ぼくとう)に文箱(ふばこ)取つけ。川 端(はた) に打 望(のぞみ)黒(くろ)き尻(しり)に。もすそたかくかゝげ。さしもかつらの早(はや)き 瀬(せ)を船に添(そふ)て渡(わたり)けり。船人(ふなびと)是を見るより。是や奴(やつこ)殿あぶ なひは船にめせといへば。何是なんど川といふべきや。石はしる 東(あつま)の大 井(ゐ)川だに是よといひて行(ゆく)事 鵜(う)よりもやすし 筍斎(じゆんさい)船より見て。扨 気味(きみ)の能(よき)男や。心ち能(よく)くろき尻(しり)やとほめて