翻刻
新竹斎巻之二
一 此 世(よ)に三途川(さふづがわ)有(あり)姥(うば)か(が)懐(ふところ)
嵯峨(さか)土器(かはらけ)の酔(ゑひ)心ち。たつふりと能(よい)物は戴(いただく)。余念(よねん)をわするゝ折
ふし。又 暮(くれ)過(すぎ)て。駕(かご)壱丁に侍(さふらひ)弐人そひて。筍(しゆん)が家(いゑ)にあない乞(こふ)。
そつじながら我等(われら)は遠城寺(をんじやうじ)勧学院(くわんがくゐん)に仕(つか)ふる江(ごう)右衛門藤左衛門と申
者に侍り。院主(ゐんじゆ)は藤氏(ふぢうぢ)の御子にて侍る。此比 急疾(きうしつ)を請(うけ)て近(きん)
辺(へん)の名医(めいい)を集(あつめ)候へども更(さら)に験(しるし)なし。筍斎老(しゆんさいらう)事さがの中
納言(なごん)殿御 口入(こうじゆ)にて御 迎(むかひ)にかごを持せ参り侍ると有つべき
口上(こうじやう)約(つゝまやか)にのぶる。筍斎 悦(よろこび)是又よき仕合(しあわせ)此中の勢(いきほひ)に何ほど
の福(さいわい)にかあはんと喜(よろこ)び。お見舞(みまひ)申さふと内に入。是ねめ介又
かゝつた。先 迎(むかひ)の衆中(しゆぢう)に酒すゝめよと一せきのたしなみ肴(ざかな)
【参照資料:国会図書館デジタルコレクション>浮世草紙刊行会叢書>第1巻>新竹斎>巻之二-一 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953502/161】