翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 39

ページ: 39

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る也此 末(すゑ)三町計の左(ひたり)に黄檗(わうばく)山 隠玄(いんけん)の禅院(せんゐん)あり京にて しれる人の此山にのがれしあり尋(たつね)よれば見しにもあらず。さう 〳〵と痩(やせ)おとろへ。無角(むかく)の頭巾(づきん)髭(ひげ)長(なが)く。世を見じかうみかぎ りて。口に仏語(ふつご)の絶(たえ)ぬこそ。いとすせうに覚(おぼ)ゆれ。唐茶(とうちや)と云 物をくるゝとて。南無 茶迦牟尼仏(ちやかむにぶつ)とさし出せば筍斎(じゆんさい)本来(ほんらい) の天目(てんめく)といひてわかれ行。とかく道 草(くさ)しげければ。申(さる)の刻(こく) 計宇治に着(つく)。夕(ゆふ)べこそうを釣(つる)によけれ竿(さほ)に餌(え)ふごと取 出すほどに。石垣(いしかき)の間に大きなる鱣(うなぎ)の在しを。筍斎 早(はや) く見付て。すかさず手づかみにしたり。よふ鱣(うなき)であらふ。水蛇(みづくつなは) の四尺計なるが。ひた〳〵と手にまとふ。瓢軽(ひやうきん)第一の憶病(をくびやう) 者。なじかは暫(しばし)もこらふべき。あつといふてふりほどく。蛇(へび)は ふられて。除たれど。主は余に気(き)をとられ水中にころび入り。 あは〳〵として流(なが)るゝ。友達 下部(しもべ)驚(おどろき)。我さきにとどびこみ引 あげんとす。其中に一人 帯(おび)のはしを抛(なげ)つけ。是にとりつけ といへば。恐(おそろし)や。また蛇(へび)がとびつくかといひさま水を呑(のむ)事ふく るゝ計。漸(やう)々 助(たすけ)上られ。芦火(あしび)をたきて。水を吸(すは)せ。薬をあた へなと。命(いのち)から〳〵是 程(ほど)のうき中にも此所の鱣(うなぎ)うぢ丸と云を   我うをは都のたつみしかとつかむ世をうぢ丸と人はいふなり 辰巳(たつみ)の二字に竜蛇(りうじや)の心ありと自讃(じさん)するを友どちは。かた はらいたがる。此さはぎに取紛(とりまぎ)れてくら〱成ぬ。夢(ゆめ)の中 宿(やど) を求(もとめ)て一 夜(や)を明し蛍(ほたる)をみる。当所の盛(さかり)今少はやしと いへど。又ことかたにかゝる見物はあらし。鞠(まり)の大きさにこりて