翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 60

ページ: 60

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て物をいはせよとて。何と筍斎には。都にてもそなたに肩(かた)をな らぶる医師(いし)もなく名人にてありしと。然(しから)は官位(くわんい)にものぼり。乗(のり)物 童僕(どうぼく)にて。綺羅(きら)をみがゝるへき身(みの)。いかに禄(ろく)にもあづからず。おち こちの道を。歩行(ほかう)につとめ。供(とも)だにひとりふたりに限(かぎ)る。いぶかしと 尋給ふ。筍斎手を打て扨は某(それがし)の名(めい)人さ。夫(それ)ほど微細(みさい)に早(はや)く 聞へ侍る事よ。仰のごとく。とくにも医官(いくわん)に昇(のぼ)り美々敷(ひゞしく)致 べき身に侍れど。私(わたくし)めにひとつの曲(くせ)あつて。唯(たゞ)慈愛(じあひ)の心ふかく 人の為(ため)能(よき)事のみと存侍る性(しやう)の捨(すて)がたく。態(わざと)心やすく仕(つかまつ)り。分(ぶん) 際(ざい)軽(かろ)き者(もの)どもに薬(くすり)を施(ほどこ)さんために逼塞分(ひつそくぶん)にみせかけ罷(まかり)在 しそれさへ誰(た)が奏(そう)し申せし禁裏(きんり)仙洞(せんとう)より勅使(ちよくし)を 下され。筍斎が医学(いがく)広(ひろ)くりやうぢの発明(はつめい)ゑいぶんに達(たつ)し