翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 62

ページ: 62

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に。今は右の百性をやめて西国(さいこく)への飛きやくをいたしおるといへば。 各(おの〳〵)腹(はら)をかゝへ笑(わら)らひながら。何と梅の枝を足にしては。さやうには ありく事なるまひ事じやといへは筍斎貌をふつて扨は人々 にはか様の古事(こじ)をばしろしめさぬと見えたり。むかし北野天(きたのあま) 満神(みつかみ)未(いまた)菅相丞(かんせう〳〵)にてましませし時。時平(しへい)のおとゞの讒(さん)に よつて心づくしにさすらひ給ふ。されば相丞都にて梅の木 を御 寵愛(てうあい)なされしが。都ゆかしき折から此むめの□を思召て   東風(こち)ふかは匂(にほひ)おこせよ梅の花あるじなしとて春なわすれそ と読(よま)せ給ひしかば。此梅一夜が内に数百(すひやく)里を越てつくし安楽(がんらく) 寺(じ)迄参る。是より号(なつけ)てとびむめといふ。彼者がする。ひきや〱の文(も) 字(じ)を飛脚(とぶあし)とよむも此心に侍るとひげ口そらしいひけるにぞ 又大笑しぬ。扨又 珍(めつら)しいりやうぢはととへば。ある時 武家(ぶけ)の若党(わかとう)途(と) 中にて。不 慮(りよ)に喧嘩(けんくわ)を仕出し頸(くび)をころりとおとされぬ。つ れの男 某(それがし)所へかけこみ此くびを継(つい)でくれよ。入(いら)ひで叶わぬくび しやと申たほどに。頓而間の釘(くき)に。かうやくぬつて即時(そくじ)ついでとら しければ。皆人きもをけす。某(それがし)はさのみにも存ぜなんだ。是も 只今 清水観(しみつくわん)右衛門と申て。息災に奉公勤(ほうかうづとめ)のある。此名をとへば くびをきられて二 度(たび)ついだるによつて。清水の観世音(くわんせをん)に模(も)し てつきたるとぞ。然は残(のこり)多(おほ)い事の御ざある。後向(うしろむき)に継でやらふ物と 今に存る。此 外(ほか)此様なはなれきつたりやうぢ。何が十や廿や三万と申 事は御ざないと云て。いふた貌もせず人皆 動作(どよみつくつ)て息(いき)のはつむ計 新竹斎巻之四