翻刻
新竹斎巻之五
一 謎(なぞ)禁好(きんこう)は斎(さい)が目に春の氷(こほり)
筍斎はうそつきの名を広(ひろく)取て。世の笑(わらひ)物になれど自然の
才覚(さいかく)も有て人にいひこめらるゝ事なし。ある時 生小賢(なまこさかしき)男。斎
が家に来て云。其方は医(い)道 発明(はつめい)に而(しか)も和歌(わか)の道にさへ達し
給へるよし心にくし。某(それがし)も年来歌を好(このん)でよみ侍る。されども
短慮(たんりよ)未練(みれん)にて。よむも〳〵こしおれにて歌に病(やまひ)があると点者(てんしや)
より批言(ひごん)あり。幸(さいわひ)貴殿(きでん)両 道(どう)兼備(けんび)の名(めい)医の徳(とく)になをし給
はらんやといふ。夫(それ)はなるほど安(やす)き事 薬(くすり)を教(おしへ)申さん人 丸(まろ)と貫之(つらゆき)
を当分(たうぶん)に。赤(あか)人を少(すこし)加(くわ)へみつを以て練て用られよ。其まゝな
をるといふ。扨(さて)珍敷(めづらしき)薬(くすり)哉此 能毒(のうとく)承たしといふ。されば歌ごと点
【参照資料:国会図書館デジタルコレクション>浮世草紙刊行会叢書>第1巻>新竹斎>巻之四-三 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953502/188】