翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 7

ページ: 7

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  心中(しんぢう)も流(なが)るゝ水にくみてしる雪はつめたき茶(ちや)や女かな とわる口いへば雪にかはりてあるじの女   心中も水のしたひもふる雪も打とけて社(こそ)そこはしらるれ といひし。此わたりにかゝる人はと肝(きも)つぶれぬ。酒打のみ雪が小 歌(うた)に遊(あそ)びてやゝ半日(はんじつ)を過る。又 行客(かうかく)の跡(あと)のため。ながゐ も心なしと巾着(きんちやく)ひねくりて一せきを引 包(つゝみ)茶代(ちやだい)すれば さいはてなる女 二瀬(ふたせ)とやらんいへるが。かい取て勝手(かつて)に入(いる)。間(ま) なく去(たち)帰りて。もうし是お銀(かねが)悪(わる)う御さりますといふ。扨も 恋しらずめ。替(かへ)てやらふも今(ま)ひとつとあらばこそ情(なさけ)なや。 いつくしき雪(ゆき)が貌(がほ)も心からにや恐(をそろしく)夢(ゆめ)になれと悔(くゆ)れどかいなし。 ためいきの下に何といかふわるひかととふ。さればやけたとやらん にせとやら申ますといふに   やくるとは我(わが)おもひをやいふならん包(つゝむ)心のふじにけふりて と艶(えん)なるかたに紛(まぎ)らはすれど。さすが代(かはり)のなき事。はちがは しくさしうつふきゐたれば。主(あるじ)の女 雪(ゆき)にかはりて又よめる   見し色のかはりなき社(こそ)たのみなれにせをかけたるかねことの末(すえ) といひけるにうれし〱おもはゆくさらばやといふ声(こゑ)も。ふるひ 〳〵まどい出ぬ。扨も此 主(あるじ)の情(なさけ)ふかさ言(こと)の葉のゆかしく心にく きほどに。又々ゆかまほしながら。はづかしき悪(わる)がねのひゞき に 心ならず夕(ゆふ)ぐれを送(をく)る。のち〳〵きけばかの女ぼうは。往昔(そのかみ)六 条(でう) の町にてかほるといひし松(まつ)の君(きみ)。根(ね)引にひかれぬれど。其男世を はやうし。ひとり身となりて。爰(こゝ)かしこさまよひありき。関守(せきもり)