翻刻
【右丁】
長きものにてがんくびを口にくはへてすひ口をしりの穴にさし、たばこ、のけぶりを
吹入る事口より煙の出る迄入るべし○とんしの灸もすべし此方は前に出せり
○くびれて死たるをすくふには 武州埼玉里民伝
くびれたる縄を切るべからず縄をきればよみがへらざるものなれば其侭そろり
とおろし足の土ふまずに灸する事数十壮又、うつばり、のちりをさゆにて用
○頭の痛み並に耳の痛み又耳に虫の入るには 大和郡山羽栗氏伝
、やまもゝ、のかはを粉にしてくだにてはなへ吹入るべし○、大根の絞り汁、をはなへ入るべし
片頭つうにもよし○耳の痛には、ごまめ、の黒焼のりにおしまぜ耳のうしろへはるべし
○虫の入るには、ごまの油、又、ねぎ、の絞り汁を入れば出る妙虫すでに耳の内にて死したるには
、桃、の、やに、をこよりの先へ付て耳の中へ入れば虫こよりに付けて出ると大同類聚方に見えたり
【左丁】
○一切の目のいたみたへがたく風眼【注①】ともに 家伝経験方
、せいたい、《割書:青黛【注②】|の事》、やましほ、《割書:えんせう|の古名》各大、めくさ、《割書:薄荷|の古名》、ひきのひたひ、《割書:細辛|の古名》各中、粉にし
病人に水をふくませてはなへ吹入るべし一切の頭痛によし○二の腕に虫歯の張り薬をつくべし
痛むめは大切なりさし薬はわるし早く痛をさらざればつぶるゝもの也△世に盲人の多きは風眼
痘病疳虫の療治あしき故なればたとへとし久しく共よく療治さへすれば再ひ明(あきら)かに成るもの也
○むしくひ歯のいたみには 野州壬生勾坂氏伝
、にんにく、をすり、はらや、少入ねり二腕につくれば其処ふくれ水出ていゆる妙○はれ痛む
者には、ふしの粉、大、やきしほ、少、さんせう、少きれに包ていたむ歯にてかみしむれば虫出て
痛やむ妙○、せうちう、にて口すゝぎ又ふくみてもよし○かみなりのおちたる処の木を
とりいたむ歯にかみしめて妙 箱根山中輿夫伝なり
【注① ふうがん=淋菌が目に入って起る膿漏性結膜炎の俗称。】
【注② 青黒色の眉墨。】