翻刻
【右丁】
のふんをそくひにまぜ一寸四方の紙にぬりひたひのかみはえぎはをそりてはるべし
又丹しろもの、《割書:はらや|の古名》各等分を粉にしてはこべ、のしほり汁にてねりこよりの先に付
て耳にさし入るべしはこべのなき時はこばかりくだにて鼻へ吹入るべし又、おほかめ、のふん三
匁、きはだ一匁粉にしのりにおしまぜ右の目ならば左の足のひらにはる左ならば右にはるべし
○はしかにはところ【注①】、一升を釜に入十分の水にてたき行水すべし 祖父経験方
○婦人なん産を免れ並になんざん産後の治方備中和気氏伝
妊身りん月の初に直にたゝせてこしの辺を見れば、くぼむ処ありそれへ両方十五
壮【注②】づゝ灸すべし此方を用ずに難産にて横ざん【注③】逆産【注④】とも、かまどのやけ土をさけ、にて用
又、きらいし、《割書:うんも|の古名》二匁、かんざけ、にかきたて用又あしの小ゆびの先に灸すべし、へびのぬけが
ら一ツ七月用たる、はすのは、一匁あさの袋に入煎用夫を人にしらすればしるしなし武州
【左丁】
忍領大福寺の安産ぐすりはこれなり○のちざん下らざるには、鼠のふん、を人のしらぬ
やうにそくひに丸めのますべし其侭下る妙又血のぼせのくせ有るものはまへのごとくにして
ひたひにはり置べし○あとはらの痛には、そば、のこをいりさゆにて用○さんごのはれ
には、桃、の花一匁せんじ用○乳汁少き時は、はちのす、黒くなる迄あぶり二匁さけにて用
△うつなひやみ《割書:ちうぶう|の古名》よい〳〵を免るゝには 雲州松江秦氏伝
毎月の初に男女ともこよりを以て頭のまはりの寸をとり其寸をのどへかけてうしろへま
はしまはしのつくる処の左右のせぼねをはさんで両方二穴に数十壮灸をすべし此方をしら
すもし卒中風とならばはなの下と足のひらに灸をする事数十壮、
とふす、《割書:めうばん|の古名》の粉を
さゆにかきたて用ひ正気になりても半身かなはずは、へびいちご、三匁端午前にとり陰干(かげほし)
、せうが、五分、かんざう、三分せんじ用泉州流木邑民家方又、鳶、の黒やきかんざけ、にて用
【注① ヤマノイモ科の蔓草。薬用。】
【注② 灸をすえる回数、または艾(もぐさ)の分量を数えるのに用いる。】
【注③ 横産(よこざん)=胎児が横位(おうい)の出産。よこご。】
【注④ ぎゃくざん=さかご。】