翻刻
【右丁】
、しゆろのは、一つかみを一寸に切、かんざう、少し、水一升入五合にせんじ用江州尼寺方○宮田氏
のよい〳〵を、しかの角、黒焼一匁、をけら、きはだ、酒にて炒各二匁、あをかづら、《割書:防巳|の事》【注①】一分をこにしさゆにて用
△のつかりやまひ《割書:らうがい|の古名》伝尸病を免るゝには大坂梅田常沢氏秘伝
その血脈ありて心にかゝる人はあらかじめやまざるまへに伝尸虫【注②】を退治すべし此方は辱 ̄キ
神方なれば信心して用べし東方をさす、桃の枝、南方をさす、かやの枝、西方をさす、椿
の枝、北方をさすむめの枝、水かげのうつらぬ、くりの枝、日かげの、杉、の枝、さかきの枝、を切
一同に火ばちにくべたき其人を火ばちにまたがせてけぶりをもつてくすぶべし
汗の出るまでくすべて△生涯守護の御神を祭る奇妙の神労なり世の人々
此辱神方を信用せずしてもしらうがいの症とならば医薬針灸の力のみにては
中〳〵しるしなきものなれば第一に蟇目(ひきめ)唯一の神道を祈り行ふ事肝要也○らうがいの
【左丁】
ねあせやまざるに、すつぽん、のはらの黄をはなし酒に一夜ひたしくろやきにし酒にて
用○、青神鳥、《割書:あをぢ|とり》つめ嘴をさりくろやき五分づゝ用○、うなぎ、くろやき十匁、よ
くいにん、炒二匁こにして一匁づゝさゆにて用○からざけ【干鮭】、のかしら一ツに、にんにく、数十を入て
黒やき粉にしてさゆにて用何 ̄レ も妙以上三方は武州葛飾田熊氏秘方
みだりがさ《割書:らいびやう|の古名》を免れ並に療方 備中玉島江東氏伝
此血すぢあればのがれがたきものなればはやくきざゝざるまへに、せぼね、をはさんて両方
くびすぢ元より一ふしづゝに十九ヶ所に其秋のひがんの中の日に灸する事数百壮
世の人此灸をおこたりてぜん〳〵に顔いろわるくならば、鶴、をくらふへし田熊氏の深秘
なれども誓約をやぶりてしるす酒樽に古酒を一升入て、まむし、のある所におけば
、まむし、酒にゑふてしするものをとりすてゝ、とふしん、と病人のおやゆびと人
【注① 漢名は「防己(ぼうき)。「巳」は誤記ヵ。】
【注② しちゅう=道教で、人の体内に住んでいると説く三匹の虫のことを三尸虫(さんしちゅう)と言い、三虫、ともいう。絶えず人の行動を監視していて、庚申の日の夜には、睡眠中の人の体から抜け出て、その人の罪過の一々を天帝に告げるという。】