翻刻
【右丁】
さしゆびとにて一そくにきりちやわんに水五はい入三盃にせんじ一日一夜にの
みつくしてのち、まむし、の入るさけをかんをして用べし妙
△下かん【下疳】さうどく【瘡毒=梅毒】よこね【注①】を免るゝ方並に治方大坂中島平埜氏伝
世に恐るべく止かたき病なれば年若き人々遊女にまじはりて其侭自分の、小便、
にてまめやかもの【注②】をあらふべし生涯さうどくを免るゝ也しかし此方をたのんで数々遊
にふけらば身命を失んなるたけは慎むべし此方を信用せずしてすでに下かんさうどく
よこねとならば、まむし、しかの角、づがに【注③】、各等分黒やき粉にして酒にて用古伝
妙方也男女ともかくれ所の疵は自分の小便にてよく〳〵あらひ、なすび、のへたくろ
やき粉にてつくる妙、生なすび、なき時は、漬茄子、にてもよし以上の方は男女通用名方也
△あたふれやみ《割書:てんかん|の古名》くるひやまひ《割書:きちがい|の古名》の治方 因州鳥取氏伝
【注① 横根=鼠蹊部のリンパ腺炎。】
【注② 男根。】
【注③ 足に毛の生えている蟹。】
【左丁】
てんかんには、丹、五匁、かんざう、五分こにしのりに丸めさゆにて用又方からす、寒中に
とり爪嘴をさり黒やきを用妙○きちがひには食事をたゝせて五六日もおけばおほ
かたは正気になるもの也第一の妙方也○かまどのやけ土、いかにもふるき程吉百草【艸】
霜【注④】、各等分水にてせんじ其うはずみをのますべし○、人ふん、をひそかに黒焼さけにて用妙
△はらふくりやみ《割書:ちやうまん|の古名》の治方には 芸州広島民間方
、ひさご、の青きをとり土をぬり黒焼みばかりこにしさゆにて用○、くれのおも、《割書:ういきやう|の古名》五
匁、だい〳〵の皮三匁こにして用○、かつらこ、《割書:かるいし|の古名》こにして用ゆれば、おなら多く出ていゆる妙
△しりがさ【注⑤】《割書:ぢばす|の古名》並にだつこうの療方には 伊勢山田足代家伝
、あをき、のは卅枚、しきみ、のは同どくだみ、のは六十枚水二升入五勺にせんじつめわたにひ
たし一切の痔病に付て妙 江州膳所山田氏秘方、さしさば、の黒焼さゆにて用
【注④ 薬種を黒焼にしたもの。】
【注⑤ 尻瘡=尻にできた腫物。】