翻刻
【右丁頭書】
一生(いつしやう)の内/旅(たび)へいでゝ物を失(うしな)ふ
ことありつゝしむべし
【星二ッ結ぶ(なまめぼし)の図】壁(へき) 《割書:土に属す|右七星北方に有》
壁の二星明かなれば小人(せうしん)退(しりぞ)き
君子(くんし)進(すゝ)み文道(ふんだう)盛(さかん)におこり
国(くに)安(やす)しくらければ文道/衰(おとろ)へ
小人すゝむ
○寿命宿(じゆみやうしゆく)といふ首途(かどで)造作(ざうさく)婚(こん)
礼(れい)によし但(たゞし )南(みなみ)へゆくをいむ
○此星にあたる人は多病(たびやう)にて
短命(たんめい)なりしかし心/正(たゞ)しく人を
めぐみ飲食(いんしよく)をつゝしめば命(いのち)
長(なが)し
【星十六結ぶ(とかきぼし)の図】奎(けい) 金に属す
奎の十六星明かなれば天下(てんか)太(たい)
【左丁頭書】
平(へい)にて文武の道(みち)大におこる
星に角(かど)あれば政事(まつりごと)正しからず
○因業宿(いんがふしゆく)といふ衣服(いふく)をたち
宮造(みやつくり)家たて蔵建(くらたて)井掘(ゐどほり)竈塗(かまぬり)
橋(はし)かけ元服(げんふく)袴着(はかまぎ)仏事(ぶつじ)出行(しゆつかう)
酒(さけ)つくり等によし
○この星にあたりて生るゝ人は
命長けれども老(おい)て凶(きよう)多(おほ)しよく
【挿絵】
【右丁本文】
○醬油(しやうゆ)の善悪(よしあし)を見分(みわく)る法
一 青磁(せいじ)の茶碗(ちやわん)に醬油(しやうゆ)を少(すこ)しばかり入(い)れ箸(はし)
にてよく〳〵かきたてゝ見るべし枇杷色(びはいろ)なる
泡(あわ)たちて暫(しばら)く消(きえ)ぬは極上(ごくじやう)なり又うす赤(あか)き
あわのたつは中分(ちうぶん)なり
○新(あたら)しき道具(だうぐ)を早(はや)くふきいるゝ法
一 よきほどに煤(すゝ)にてむらなく拭(のご)ひその上へ生渋(きしぶ)
に水/等分(とうぶん)にして引(ひき)其後/木(き)の実(み)の油(あふら)にて
拭(のご)ふべし一月ほど如此(かくのごとく)すれば数年(すねん)ふき込(こみ)
たる物のごとくなる也
○紅(べに)を用ひずして紅染(へにぞめ)する法
一 とうきび売(がら)【壳】を早稲藁(わせわら)の灰汁(あく)にてせんじ
絹(きぬ)木綿(もめん)何にてもそむべし色よくして誠(まこと)の
【左丁本文】
紅(べに)にすこしもたがはず但し桃色(もゝいろ)より濃(こ)くては
わろし紅欝金(べにうこん)などは右の上にうこん粉を熱(あつ)き
湯にたてゝ染(そむ)べし紅藤(べにふぢ)は下(した)を浅黄(あさぎ)の色を
薄(うす)くそめおき桔梗(ききやう)ははな色の上を右の通
にてそむべし
○漆(うるし)を用ひずして塗物(ぬりもの)する法
一 何にても下地(したぢ)を墨にてぬり生渋(きしぶ)をはき其
上を真綿(まわた)にて艶(つや)の出るほどふきさて膠(にかは)を上へ
ひくべし漆(うるし)のぬり物にかはらず春慶(しゆんけい)は黄柏色(きわだいろ)
下地(したぢ)それ〳〵に望(のぞみ)次第(しだい)に色をつくべししかし
継(つぎ)物はならず
○庭石(にはいし)に苔(こけ)を付る法
一 何石にても肌(はだ)をあらくし米汁(しろみづ)をかけ其上へ
【枠外丁数】卅三