翻刻
【右丁頭書】
苦労(くらう)多けれども老にいたり
て仕合(しあはせ)なほり万事(ばんじ)よかるべし
【星八ッ結ぶ(あめぶりぼし)の図】畢(ひつ) 水に属す
畢の八星明かに大なれば夷狄(いてき)
来りて貢物(みつぎ)を捧(さゝ)げ天下太平
なり動けば淋雨(りんう)洪水(こうずい)あり
○悪性宿(あくしやうしゆく)といふ神事(しんじ)婚礼(こんれい)造(ざう)さ
く溝(みぞ)を通(つう)じ橋(はし)をかくる等よし
衣服をたつにはわろし
○此星にあたりて生るゝ人は
福禄(ふくろく)たもちがたく望(のぞみ)事かなひ
がたししかれども身(み)をつゝしみ
心を正直(しやうぢき)にもてば禍(わざはひ)をまぬかれ
福(さいはひ)を得べし
【星三ッ結ぶ(とろきぼし)の図】觜(し) 金に属す
【左丁頭書】
觜(し)の三星明かに大なれば天下
泰平(たいへい)にして五穀(ごこく)よく熟(じゆく)す動(うごい)て
明かなるは旱(ひでり)して国(くに)安からず
○慙悪(ざんあく)宿といふ入学(にふがく)杣入(そまいれ)によし
衣服を裁(たつ)はわろし
○此星にあたりて生るゝ人は一生(いつしやう)
の内/住宅(ぢうたく)さだまりがたく老に至(いた)
りてあしく然れども人を憐(あはれ)み
人に悖(もと)らず陰徳(いんとく)を施(ほどこ)し身(み)を収(をさ)
むる時は仕合なほり福(さいはひ)を得べし
【星十結ぶ(からすきぼし)の図】参(しん) 《割書:木に属す|右七宿西にあり》
参の十星明かに大なれば臣(しん)に
忠(ちう)あり子(こ)に孝(かう)あり動(うご)けば讒者(ざんしや)
はびこり賢人(けんじん)退(しりぞけ)けらる
○炭富宿(たんふしゆく)と云/財(たから)をもとめ養子(やうし)
をとり門立(かどたて)造作(ざうさく)などによし衣服
【右丁本文】
乗(の)る前(まへ)に飲(のむ)べしいかなる難風(なんふう)にあふともゑふ
ことなし
一 船(ふね)に酔(ゑひ)たる時は何魚(なにうを)にても腹(はら)こもりの魚
を水にてのむべし又ふかの干(ほし)たるを呑もよし
○寒風(かんふう)の肌(はだ)をとほさぬ法
一 風(かぜ)肌膚(はだへ)にとほりて寒(さむ)き時は紙(かみ)をひろげ
て衣服(いふく)の間(あひだ)にはさみ入れば風を通(とほ)さず
して寒気(かんき)をふせぐなり
○旅(たび)にて饑(うゑ)を凌(しの)ぎ并(ならびに)まめ出ざる法
一 挽茶(ひきちや)を懐中(くわいちう)して出ればよく饑(うゑ)を凌(しの)ぐ
又/生(なま)の蓬(よもぎ)をとりてそのまゝくふべし是も
饑(うゑ)をしのぐもの也又/火附木(つけぎ)【左ルビ イヲン】一さき懐中(くわいちう)す
れば足(あし)にまめ出ぬものなり
【左丁本文】
○蛙(かへる)のなくをとゞむる法
一 かへる鳴(なき)てやかましき時は野菊(のぎく)の花(はな)を
粉(こ)にして風上(かざかみ)より風(かぜ)にまかせてまきちらせば
三五日はなくことなし妙なり
○香具(かうぐ)のたくはへやう
一 丁子(てうじ)白檀(びやくたん)の類(るい)すべてにほひある物は刻(きざ)みて
たくはへおくべからずこしらへ合する時きざみ
て用ゆべし剉(きざ)みておけば気(き)ぬけて香(か)うすし
燻物(たきもの)などたくはふるにも香箱(かうばこ)に入上を蠟紙(らうがみ)
にてつゝみ気(き)のぬけざるやうにすべし
○膏薬(かうやく)かぶれを愈(いや)す方
かうやくにかふれたるには杉(すぎ)の葉(は)をせんじ
あらふべし杉(すぎ)なき時は青木(あをき)の葉(は)を用ゆべし
【枠外丁数】卅五