翻刻
【右丁頭書】
○争論(さうろん)宿といふ万事(ばんじ)大によし
富貴(ふうき)を主(つかさど)る星なり社参(しやさん)仏参(ぶつさん)
袴着(はかまぎ)隠居初(いんきよはじめ)宮建(みやたて)家蔵(いへくら)たて
井掘(ゐほり)竈(かま)ぬり万(よろづ)よし但し婚礼(こんれい)
にはいむべし西(にし)の方へゆくべからず
○此星に生るゝ人はわかき時は
辛労(しんらう)あれども老(おい)て大によし
【星八ッ結ぶ(ぬりこぼし)の図】柳(りう) 火に属す
柳の八星明らかなれば人民(にんみん)酒(しゆ)
食(し)をゆたかにす色(いろ)をうしなへば
凶年(きようねん)三年をまたず五穀(ごこく)大にたかし
○財宝(ざいほう)宿と云/決断事(けつだんごと)悪(あく)を除(のぞ)
くに用ゆべし杣(そま)を入るもよし造(ざう)
作(さく)葬礼(さうれい)衣服(いふく)をたち和合(わがう)する
事にはわろし
○此星に生るゝ人は一生(いつしやう)福禄(ふくろく)を
【左丁頭書】
保(たも)つといへども人とあらそふ事
おほしよく〳〵つゝしむべし
【星六ッ結ぶ(ほとおりぼし)の図】星(せい) 水に属す
星の七星/明(めい)大(だい)なれば王道(わうだう)さかん
なりくらければ賢良(けんりやう)望(のぞみ)をうしなふ
色(いろ)をうしなへば后妃(こうひ)難(なん)あり
○諂曲(てんきよく)宿といふ馬乗初(むまのりぞめ)厩造(むまやつく)り
薬(くすり)を飲(のみ)そむるは宜し婚礼(こんれい)葬礼(さうれい)
衣服(いふく)をたち五穀(ごこく)のたねまくには
用(もち)ゆべからず
○此星(このほし)にあたりて生るゝ人は福(さいはひ)
おほく望(のそみ)事かなふなり然れども
老年(らうねん)にいたりて心労(しんらう)おほし
【星六ッ結ぶ(ちりこぼし)の図】張(ちやう) 水に属す
張の六星明大なれば国家(こくか)壮(さかん)に
【右丁本文】
【挿絵】
生姜(しやうが)をひたと取(とり)かゆれば血いつとなく落(おつ)る
○沈金(ちんきん)ぼりの法
一 塗物(ぬりもの)には小刀(こがたな)すべりて立(たち)がたきものなり是
を彫(ほ)るには鼠(ねずみ)の歯(は)を小刀(こがたな)に代(かへ)て用(もち)ゆべし
いかやうの細(こまか)なる画(ゑ)にてもおもふまゝにほら
るゝものなり
【左丁本文】
○金(きん)しづめやう
一 彫(ほり)たる所へ金(きん)をしづめ入るゝ法/漆(うるし)をほり
たる上にぬりよく拭(ぬぐ)ひとりて金箔(きんはく)金ふん
をいれそのゝち角粉(つのこ)にてみがくべし漆(うるし)の
光沢(つや)を出さんとおもふ時はすりうるしにて
つやを出すべし金箔(きんはく)はこまかにして指(ゆび)にて
すりこむなり
○鼈甲(べつかう)をつぐ法
一 鼈甲(べつかう)の折(をれ)たるをつぐには両方(りやうはう)よりをれ
めをしかと削(けづ)り合(あは)せさて両方(りやうはう)とも上につけ
木/二枚(にまい)ヅヽあてゝくゝり置《割書:竹の皮にて巻|包むもよし》はさみ
金(がね)をよく焼(やき)てつけ木の上よりはさむべし
火気(くわき)とほればつがるゝ也
【枠外丁数】卅七