翻刻
【右丁頭書】
○焼海蘿(やきふのり)の法
ふのりを水に入れ塵(ちり)を去(さり)て
一所にかため焼飯(やきめし)のごとくにぎり
堅(かた)めて紙(かみ)にてつゝみ熱灰(あつばひ)の下
に入て上より火をたきよき時(じ)
分(ぶん)に取出し雷盆(すりばち)にて能(よく)すり
生渋(きしぶ)をまぜてすり合(あは)せ葛籠(つゞら)
などを張(は)るにわらびのりよりは
つよし又しぶ紙(かみ)に用ひてよし
但(たゞ)しよくさめて渋(しぶ)を入べしあつ
き時入れば渋(しぶ)よわし
○合羽(かつは)の法 えごの油(あぶら)一升
唐蝋(たうらう)十五匁 たうの土(つち)二十匁もし
青(あを)くするには青黛(せいたい)八匁或は十匁
もし黒(くろ)くせば灰墨(はひずみ)十匁まづ
蝋(らう)を鍋(なべ)にいれ火をもつて暖(あたゝ)め
よくとけたる時えごのあぶらを
【左丁頭書】
入る油(あぶら)入てひゆる故に蝋(らう)かたく
なるを火にていよ〳〵あたゝめよく
とけたる時 唐(たう)の土 青黛(せいたい)などを
いれかきませてかたまりなく
なりてよき時に今少(いますこ)しおきて
早く揚(あげ)煖(あたゝ)かなる内に早く引べし
さて引たびごとにあたゝめて引
刷毛(はけ)のぬけるを去(さり)てまづ表(おもて)
より一とほり引日に少(すこ)しほして
又 陰干(かげぼし)にし裏(うら)を一とほり引て
又右のごとくほし又 表(おもて)をひきむ
らをなほすべし布(ぬの)は縫合(ぬひあは)せて
よくはりて引べし久しく日
にほすべからす暫(しばら)くほしてよし
荏油(えのあぶら)一升にて合羽(かつは)三ッほど引
るゝなり
又方えのあぶら一升 唐土(たうのつち)五十匁
【右丁本文】
○膠(にかは)つぎの物/永代(えいたい)はなれぬ法
一 藜藘(おもと)【藜蘆】の根(ね)を黒焼(くろやき)にして膠(にかは)をねるとき
よきほどに加(くは)へ煉(ねり)合せ何にてもつぐへし
○鉄針(てつはり)のさびざる方
一 杉(すぎ)の木の炭(すみ)を粉(こ)にしてその中へ入置べし
又/桃(もゝ)の核(さね)を焼(やき)て粉にしたるもよし
【挿絵】
【左丁本文】
○鼠(ねずみ)のあれぬ法
一 鼠(ねずみ)を一疋(いつひき)とらへて銅網(かなあみ)の中へいれ食(しよく)
物(もつ)をあたへて飼(かひ)おくべし他(た)の鼠(ねずみ)これを見
て少(すこ)しも荒(あれ)ぬ事妙なり
○刀(かたな)脇差(わきざし)柄糸(つかいと)の積(つも)りやう
一 其(その)まくべき柄(つか)の長(なが)さ緑(ふち)より柄頭(つかがしら)まで
の寸(すん)十二たけあれば相応(さうおう)なりと知るべし
それより短(みじか)きは足(たら)ぬなり
○鏡(かゞみ)の磨(とぎ)やう
一 下地(したぢ)を和(やは)らかなる切藁(きりわら)を以(もつ)てすりおき
砥(と)の粉(こ)にて磨(みが)き塩気(しほけ)なき梅干(むめぼし)にて能(よく)
すりてさて錫(すゞ)三分/水銀(みづかね)壱匁/先(まづ)錫(すゞ)を土(かは)
器(らけ)にいれ火の上に置よくとけたる時/水銀(みづかね)を
【枠外丁数】四十七