翻刻
【右丁頭書】
はかり四方と天井(てんじやう)の紙(かみ)をつぐ
べしさて天井の紙を畳(たゝみ)の上
に置 幅(はゞ)をきはめ四角(しかく)に釘(くぎ)をさし
細(ほそ)き苧縄(をなは)を四角(よすみ)の釘にかけて
引はり天井の紙のはしをのり
にて苧縄につけさて四方のた
れを付るたれの四隅(よすみ)は後につ
ぎ合すべし尤(もつとも)すそ広(ひろ)くなる様に
角(すみ)の方に背を入べし
○折本(をりほん)の折やう 先(まづ)紙をつ
ぎかたく巻(ま)き継(つぎ)たる粘(のり)を一夜ほ
ど乾(かわか)し置て折幅(をりはゞ)三寸にすべし
とおもふ時は折形(をりかた)を六寸にして
【挿絵】かくのごとくにし紙の
表(おもて)を下にして折かたの木(き)を当(あて)
折目(をりめ)を付るなり但(たゞし )初(はじめ)に紙(かみ)の下
の方を定木(ぢやうぎ)にてゆがみなきやうに
【左丁頭書】
裁(たち)そろへて継(つぐ)べし折目(をりめ)を付る
時下の方にて揃(そろ)へて折目(をりめ)をつく
べし終(おはり)までかくのごとく折目(をりめ)を
つけさて折目(をりめ)を口(くち)の方(かた)より右の
手にておさへひろき竹箆(たけへら)にて重(かさ)
ねたる小口(こぐち)をたゝきそろへ後(うしろ)の
方を小口をおさへたる手をとり
かへ左の手にて折目(をりめ)をつくべし
かくのごとく折(をり)をはりて後(うしろ)の
方のをりめに重(かさ)ねながら刷毛(はけ)
にて水を引てしめし前(まへ)のかた
のをりめを板にあて手ごゝろを
和らかに持て紙(かみ)のゆすりあふ様(やう)
に心持(こゝろもち)してたゝき付べし小口
そろひたる時 直(すぐ)なる板(いた)の上にの
せ上より直なる板(いた)の類(るい)を置(おき)
押をかけ乾(かわか)しおくべし押(おし)をかく
【右丁本文】
○どうさせぬ物に墨(すみ)のちらぬ法
一 絹布類(けんふるい)にものかく時は墨ちり又はにじむ物
なり生姜(しやうが)の汁(しる)また糯米(もちごめ)の粉(こ)を入て墨
をすりてかくべし墨ちらず
○藁筆(わらふで)の製(こしら)へやう
一 新藁(しんわら)のはかまをとりしべをなかく揃(そろ)へ
常(つね)の香物(かうのもの)を漬(つけ)るが如く糠(ぬか)みその中へつけ
おき半年(はんねん)ほどへて取出しそのまゝ水を
入てしばらく煮(に)て常(つね)の筆(ふで)のごとく
製(せい)すべし唐毛(たうけ)の筆にかはる事なし
○青竹(あをだけ)を白(しろ)くする法
一 花生(はないけ)などに作(つく)る青竹を白くするには
荒海布(あらめ)と竹(たけ)と一ッに煎(に)るべし白くなる也
【左丁本文】
○盆山(ぼんさん)庭石(にはいし)等(とう)の破(われ)たるを継(つぎ)補(おぎな)ふ法
一 漆(うるし)にうどん粉をまぜてつげば継(つが)るゝ物
なれど継目(つぎめ)見えてみぐるしきものなり
蛞蝓(なめくじり)のぬめりにて継(つげ)ば水に入てもはな
るゝ事なし又/盆山類(ぼんさんるい)かけて後その欠(かけ)
を失(うしな)ふ時は白笈(びやくきう)を細末(さいまつ)にし熱湯(ねつたう)にて
ねり合せつぎ補(おぎな)ふべしかたくして後は
石となる也/色(いろ)は見合にて絵(え)の具(ぐ)を和(まぜ)て
つくべし
○磁器類(やきものるい)に穴(あな)を穿(あく)る法
一 磁器(やきもの)に穴(あな)をあくるには極暑(ごくしよ)の時/杉木(すぎのき)に
て錐(きり)をこしらへ此/錐(きり)のさきに蛞蝓(なめくじり)をさし
炎天(えんてん)に干(ほせ)ば乾(かわ)きつくもの也此/錐(きり)にて穴を
【枠外丁数】四十九