翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

養生主論 - 翻刻

養生主論 - ページ 14

ページ: 14

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五十歳のごとしといへり凡(およそ)食事をなすときは心を静(しつか)にして 思慮(しりよ)する事/物(もの)いふ事/笑(わら)ふ事など大なる毒(どく)なり食(しよく)前後(ぜんご)も これに同し食後(しよくご)煙草(たばこ)をこのむ人は用(もち)ひて気(き)を休(やす)めしこふして 胸腹(むねはら)をしづかになでさする事/百度(ひやくど)に及ふべし必/臥事(ふすこと)なかれ つとめて歩行(ほかう)すべし夕飯(ゆふめし)には必(かな)らず野菜(やさい)のかろきものにて食 すべし決(けつ)て厚味(かうみ)を食すべからず冬の日/他(た)より帰(かへ)り冷(ひへ)たりとて 直(たゞち)に至極(しこく)の温物(あつきもの)食すべからず肺脾(はいひ)を損(そん)ず夏の冷水(れいすい)を禁(きん)ずるに 等(ひと)し冬春/北国(ほつこく)雪中(せつちう)往来(わうらい)の人に温酒(あたゝめざけ)をあたへずといへり温酒を 呑(のむ)ときは却(かへつ)て雪中に冴(こゞへ)る事あり此外/食物(しよくもつ)に心得(こゝろへ)夥(おびたゝ)しといへ とも一々/挙(あぐ)るにいとまあらず自(みづ)から考(かんか)へ慎(つゝし)むべし古人(こじん)のいはく 色欲(しきよく)は遠(とふ)ざくべし食欲(しよくよく)はしりぞけがたし小児(せうに)といへども食欲は同し 禍(わさわひ)は口(くち)より出(いで)病(やまひ)は口より入る又いはく盟(めい)をやぶるは一言(いちごん)にあり腹(はら)を 損(そこな)ふは一椀(いちわん)にありと宜(うべ)なるかな     房事(ほうじ)の心得 夫(それ)男女(なんによ)和合(わごう)は子孫(しそん)相続(さうぞく)の基(もと)ひにして更(さら)淫(たはぶれ)たる事にあらず されど人欲(しんよく)の内(うち)に慎(つゝしみ)がたきは色欲(しきよく)の一ツなり凡(をよそ)人の生質(うまれつき)にして 強弱(けうじやく)ありといへどもたとへ強壮(つよくさかん)なりとも度(ど)を守(まも)るべしいはんや虚弱(きよじやく) の人におゐてをや足(た)らざるは身(み)をやしなひ過(すぐ)るは身を削(けづ)り命(めい)を 縮(ちゞ)む又/過度(くはど)する人は極(きは)めて風寒(ふうかん)に傷(やぶ)られやすしされど其(その) 情(じやう)をむりに堪(こた)ゆるは又(また)鬱症(うつしやう)となる事ありて害(かい)となるされば 人三十/歳(さい)までは其/生質(うまれつき)の強弱(つよくよはき)にしたがひ多少(たしやう)自(みづか)ら考(かんが)ふべし さりながらたとへ強壮(つよくさかん)なりとも月(つき)に五六/回(たび)にすごすべからず虚弱(きよじやく) なる人は三四/度(ど)をすごすべからず四十/已後(いご)は慎(つゝし)み第(だい)一なるべし