翻刻
と食(しよく)すれば音声(おんせい)をうしなふ
○鮫(さめ) 病人(ひやうにん)はもとより平人(へいにん)とても食すべからず
○鱭(たちうお) 毒(どく)あり食(しよく)すべからず是(これ)を食して死(し)すといへり
○鰯(いわし) 温(うん)なり毒(どく)あり病人/斟酌(しんしやく)すべし
○鱒(ます) 胃(ゐ)をとゝなふ瘡毒(さうどく)ある人は食(くら)ふべからず
○鯰(なまず) 腸胃(ちやうゐ)を厚(あつ)ふして大に益(ゑき)あり但し目赤(めあか)く髭赤(ひげあか)く
腮(あご)なきものは毒(どく)あり食すべからず
○/𩹨(いしもち)【注①】 毒( どく)なし性軽(しやうかろ)し はす わたかうぐゐ同性(どうしやう)なり
常食(しやうしよく)によろし病人には用捨(やうしや)すべし
○古万米(ごまめ) 鰯(いわし)と同性(どうしやう)なり
○鰹(かつほ) 小毒(せうどく)あり人によりて酔者(よふもの)あり鰹節(かつをぶし)は病人(びやうにん)にも
いむことなし
○鮬(せいご) 平和(へいわ)にして諸病(しよびやう)にいまず
○鮟鱇(あんかう) 五臓(ござう)を補(おきな)ひ諸病によろし
○鰠(ひごい)【ママ 注②】 鯉(こひ)よりは少(すこ)し軽(かろ)き性(しやう)なり
○鯯(このしろ) 毒(どく)あり病人(びやうにん)は本(もと)より常人(つねひと)も食(しよく)すべからず赤苣(あかぢさ)と
食すれは煩悶(もだへ)し吐(と)す又/此魚(このうを)を炙(あぶ)るに火(ひ)の中(なか)に
若(もし)綿実(わただね)あれば忽(たちま)ち人を殺(ころ)す恐るべし
○鯨(くじら) 疝気(せんき)に大に悪(わる)し身鯨(みくじら)かぶら骨(ぼね)皮(かは)とも同性なり
総(さう)【惣】じて鯨(くじら)の類(るい)はみな毒(どく)なり
○烏賊(いか)魚 平(へい)なり常人(つねひと)はよろし病人(びやうにん)は斟酌(しんしやく)すべし鯣(するめ)も
同し多(おほ)く食(くら)へば脾胃(ひゐ)を損(そん)ず
【注① 𩹨」は『大漢和辞典』に見えず。】
【注② 音「ソウ」、語義は「みごい」。「にごい(似鯉)の古名。鯉に似て肉に細刺あり。味劣る。】