翻刻
◯睡眠
人窹むるの間は、霊液を費し、費すこと漸く夛け
れば、睡を催す、睡中霊液元 ̄トに復すれば則ち醒む、故に
睡眠足らざれば、霊液随て缺耗し、人身又健康な
ること能はず、又睡眠多きに過くれば、血液運行
遅滞等の害あり、唯過不及なきを以て、最要とす
べし、
古人曰く、暁色は人に金(きん)を与ふ ̄ト、是れ早起の人身
に益ある謂 ̄ヒなり、然れども唯◦早起を守て、早眠を
忽(ゆるかせ)にするは害あり、甲夜(よい)の就眠、爽明(よあけ)の早起とて、
古来養生家 ̄の、専ら務むる所なり、
読書人を見るに、爽明に早起して、読書するは
よし、深夜に至れども、机上を離れず、甚しきに
至ては徹夜し、明朝尚寐ねず、愚も亦甚哉、是れ
漢土の常論に習て、鞭策而已を良とするなり、
苟も窮理の一端を知る者は、豈此 ̄クの如き所置
あらんや、故に読書人の勉勵家は、身-躰脆-弱、勇
気少く、無用の人は甚た多し、
或《割書:人|》曰、勉学は国家の為めなり、然るに、其法を知
らずして廢物となり、却て国家の厄介となる、
其愚憐むべし、