翻刻
○房事
壮年健康の人と雖も、房労過度なる時は、病必ら
ず生ず、況や老少にして淫乱なるは、無二の命を
以て、淫樂を買ふに似たり、豈/愚魯(おろか)と言はざるべ
けんや、
手淫(せんずり)は、天理に背くの最大なる者ににして、人身に
害あること最も甚し、長生を思ふの人、決して此
卑事を行ふこと勿れ、
嘗て一洋医の話を聞くに、一度の房事は六オ
ンス【左傍線】の瀉血に同く、一度の手淫は六度の房事に同
しと言へり、手淫の人身に害あること、推して知るべし
○旅行
旅の利益は、勝(あげ)て言ふべからず、是 ̄レ衆人の普く知
る所、今更に記載せずと雖も、長旅に歳月を累(かさ)ね
て、旅宿(たびね)の憂苦を覚ゆるは《割書:大|》害あり、唯短旅頻憩を
以て、長生の妙法といふべし、
多血家は旅すべからざる者あり、故に首途(かどいで)の前、
先づ医家に走て、旅すべきや否やを細問すべし、」
今左に旅中の注意(こゝろゑ)を畧説して、茲に初編の筆を
閣(さしお)く、
旅中乗◦歩の一に片すべからず○舩中に在ては、
時々行作を替ふべし、則ち或は坐し或は臥し或