翻刻
気も滞らず血液も不潔にならず長命はなるもの
とみえたり是を以て見る時は此二事生を養ふ
所の第一なること明らかなり他所にても長寿の
者を見しに多くは此類なりされども其平生を
委くしらざれは証にはなしがたし故に此には挙
ず若生得虚弱の者此所を弁へず彼は大酒せし
かど何か年の寿を保ち是は過食せしかども
多病にはなかりしと己が生得を弁へず謾りに
飲食を過し旦これに加ゆるに無益の事に
思を労する人々は如何 ̄ンして天寿を終ることを得む
是鄙き譬にいへる鵜の真似する鴉の類ひなるべし
又人間一生は飲食の為に身を持つとて明日病
ことを思慮もせず過飲過食する輩は五十年の
苦労せんより一日の栄花勝れりと眼前刑にあふ
は知りながら盗するもの共と品こそかはれ其情
は相似たるべしかゝる人あらむには迚も此事
語るべきことにはあらず