翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

養生七不可 1巻 - 翻刻

養生七不可 1巻 - ページ 22

ページ: 22

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生れし人は朝夕の飲食四時の衣服も其程々に合ふ ことを得ずまして居宅の陜隘【左ルビ「てせま」】猥雑【左ルビ「むさくしき」】なるは尤憐む べしそれが中に病(やま)る事あれば行届ざる事のみ ありて貧く其天年を終(をは)る事を得ざる者多し 然れども軽賤(けいせん)なる者は自然の稟受(ひんじゅ)強実(きやうじつ)にして 常に身体(しんたい)の労動(らうどう)よき故にや少の病なれば其自然の 力にておのづから癒(いゆ)る事もあり是賤しき身に 備りし天幸ともいふべきやかくはあれども人々に生れ 得し強弱と受たる病の浅深あれば尽(こと〴〵)く此(これ)には例し 難し先其第一は医者らしき医者の薬を心のまゝに 服する事なるは殊にまた幼きより何事も聞たる 事も学びたる事もなかれば天より稟得(うけえ)しまゝに 生長し万のことを軽忽にのみ心得命にもかゝるべき 病に臨(のそ)みても等閑(なほさり)事(こと)のやうに思ひそこらあたりの売 薬妙薬を買ひ求め其功能をもよく糾(たヾ)さずみたりに 是を用ひ効(しるし)なければ忽に惑(まど)ひ易く濫(みた)りに彼是を服し 又其間には同情の人々寄集り此病には何を食すれば 治し彼病には何を飲すればよろしと得も知れぬもの